もうそろそろ新しい年になる頃かな・・・
星の位置を見ながら、時間を推し量る。
人気の無い庭園を見回すが猫の子一匹居ない。

居るのは金の髪をきらきらさせて、白い息をはいているアラミスだけだ。

寒がりなんだよね、アラミスって。
暖かさを共有しようと肩をくっつけるとじろり、と上目使いに睨まれた。
そのまますっと、歩先をむこう向けてしまう。

「警護に集中しろ」

凛とした声が冷たく透き通った空気に響く。
けど、その声がどこか震えてるようにも聞こえる。

寒いからなのか、それとも・・・

小さい背中、細い肩が目に入る。
おどけて抱きつくと、体が冷え切ってしまっているのが判る。
まるで冷たい空気を纏っているよう。

それをはき出すように抱き締める力を強めると、強い抵抗が腕の中で起こる。

「離せ」

蒼い瞳が鋭く瞬き、金髪がふわりと揺れる。
軽い痛みが頬を走ると、振り払われた腕がむなしく空を切った。

怒っているんだろうか。
俺が相手じゃ不足だったのかな。
けど、もう一度触れたい、その衝動が疼いた、

この気持ちが何なのか、いままで女の人に抱いた気持ちとは全く違っている。
ノエルの夜、瞬く星を見上げて物思いに耽るアラミスを見て心が痛んだ。
誰を想っているのかは、もう判っていた。
その相手は今日は非番。
彼は恋人との夜を過ごしているんだろうか。

凛とした空気に耐え切れず、会話を切り出した。

「アトスとポルトスの恋人ってどんな人なの?」
「ポルトスの御相手は、一度会った事はあるよ。アトスの御相手は知らない」
「そ、そう・・・。ポルトスの恋人って料理上手なんだろうね!」
「そうだね」

我ながら何て馬鹿な質問をしたのだろうと後悔。
アトス、と言葉を紡ぐ時のアラミスの表情が、全てを物語っていた。





あの日、ノエルの夜、仮眠を取る横顔。
その頬に触れて柔らかい唇に寄せて・・・
やがて意識を取り戻した瞳がぼんやりと自分を見つめていた。

「あ、アラミス」
「ん・・・?」
「あ、あのさ・・・」
「・・・」
「さ・・・・最近忙しくて通う時間も無くて!相手してよ!」
「は?」
「あの、溜まってちゃっててさ〜」
「・・・」

鋭い眼光に射られる。
殴られる!と思ったらあっけなく「いいよ」という声が聞こえてきた。

ノエルの夜の奇跡だろうか、と思ったけど・・・




もう一度、奇跡を起こしたくてアラミスに許しを請う。
笑ってくれればこっちのものだしね・・・



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ダル片思い?の巻 この組み合わせはやっぱ難しい・・・
この先はご想像のままに

















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