「まだ交代の時間じゃないのかなぁ・・・」
「もう少しじゃないか」
「寒いよアラミス〜」

じゃれるように体を摺り寄せてくるダルタニアンを軽く睨む。
構わず寄せてくる肩をかわすと、背を向けて周りを見渡した。

「警護に集中しろ」
「そんな事言って、新年を迎えようかって夜だよ?悪人だって今日くらいは棲家でのんびりしてるさ」
「そういう隙を狙われるんだ」
「それにしたってさ、どうしてノエルに続いて今日も当直警護なんだよ〜」
「家族や恋人の居る者が当番じゃ可哀想だろ」
「僕だって・・・」
「一番下っ端は別」

ぴしゃりと言い放つと大きく深呼吸をした。
冷たい空気が体中を巡るようで、気持ちがしゃんとする。

と、思った瞬間に温かさを背中に感じ、振り向くとダルタニアンが駄々っ子のように
抱きついてきていた。

「ちょっ、ダルタニアン!」
「ん〜、アラミス体冷えてるよ〜」
「外の警護なんだから当たり前だろ!離せ!」
「俺の体あったかいでしょ?」
「いいから!離せ!」

剥ぎ取るように体を離すと、不満そうな顔が目に入る。
何か言いたげなダルタニアンの頬をぴしゃりと軽く叩き、乱れた上着と髪を整えた。
ぶすっとむくれた口から更に腹立たしい言葉が投げられる。

「怒ってるの?ノエルの日の事」
「は?」
「ノエルの当直勤務の時の事」
「・・・・・」
「ごめん、謝るよ」
「加害者ぶらないでほしいな。合意の上、だったはずだろ」
「そうだけど・・・」

ノエルの夜。ダルタニアンと体を重ねた。
一度だけ、次はないと自己嫌悪を隠し言い捨て、大人の態度で脱ぎ捨てた服を
纏うと休憩室から出て勤務に戻った。

それからの勤務も何も無かったように振舞った。
ダルタニアンは何か言いたげだったが、知らない振りをした。
これ以上、自分の中に入ってこられては困る。

勘のいい彼の事だ、既に見透かされているのかもしれないけれど。





私が誰を想って、ダルダニアンを受け入れていたのかを・・・
思わず上げた甘い声が、誰からの愛撫だと思っていたのかを・・・





「俺さ、代役でもいいよ。アラミスのこと好きだし」

掛けられた言葉の真意にびっくりして振り向くとダルタニアンが人懐っこい瞳で覗きこんできた。
・・・やっぱり見透かされてたのか。
してやったりと言いたげな彼の表情に思わず顔を緩ませると、ふわっと抱擁される。

「隙あり」
「・・・」
「そろそろ交代の時間だよアラミス」
「・・・そうだね」
「体、温めないとね」
「一度だけだと言ったはずだろ」
「そんな事言わないでよ〜」

交代の銃士がこちらに向かう気配を感じ、抱擁を解く。
仲間に軽く引き継ぎ、館の方に二人で向かう時、軽い口付けと共に耳元で囁かれる。

「せっかくだから楽しもうよ、ね?」

思わず噴出してしまった。
笑ってしまった自分の負けだなと思う。
二度目は無いと言ったはずなのにな、と苦笑しながら小さく頷くと満開の笑顔が咲く。

足取り軽く仮眠室に向かう後姿に、そんなに嬉しいのか、と今度こそ大笑いをして彼の後を追う。
良くない事なのかもしれないけど・・・
こんな日の勤務だ。少しだけ自分を律するのを止めてもいいのかもしれない、と言い訳をして
暖かな館の中に足を進める事にした。



直線上に配置






ダル×アラ なのかな〜  なんかアラミス軽い女みたいで微妙でしょうか・・・
蛇足ですが、当直勤務の時のはなし もちょっとだけ
















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