<首飾り> 「フランソワ!!」 「ルネ・・・すまない。せっかく君がくれたペンダントを奪われてしまった」 「そんな、そんなことよりも・・・、ああフランソワしっかりして!」 「ルネ、ルネ、愛しているよ・・・ルネ」 「フランソワ!いやっ!死なないで!!」 ----------- 「このペンダントを私に?」 「ええ、ご迷惑ですか・・・?」 「いえ、そういうことではないのですが・・・」 そう言って彼女を見ると、顔を真っ赤に染めて所在なさげに私の手元を見ている。 そんな様子がかわいらしくて、ちょっと意地悪をしたくなる。 「このペンダントにはどういう意味があるのですか?」 「え、えっとそれは・・その・・・。そのペンダントは母が父に贈ったものなんです。だから・・・」 「だから?」 ルネは今にも泣き出しそうである。 やり過ぎか、と彼は目線を彼女に合わせ頬に手をあてる。 それに驚き、思わず顔をあげたルネにフランソワは優しく口付けた。 ----------- 「あの時のフランソワは意地悪だったわ。私の気持ちはわかっていたんでしょう?」 「あはは、すまない。けどびっくりしたのは本当だよ。いきなりだったからね」 「だって・・どうすればいいのかわからなかったんだもの。すごく悩んで考えたのよ」 「そうだね。あの時のルネの顔ったらなかったからなぁ」 「ひどいっ、ひどいわっ」 ぷいっと背を向けてすねる彼女を後ろから抱きしめ、髪に目元に口付け ペンダントを手にやる。 「ねぇルネ、このペンダントは中に細工があるんだね」 「ええ、そうなの。お父様はお母様の肖像画を入れていたみたい」 「じゃあ私はルネの肖像画を入れよう。君の絵を描かせてもらっていいかい?」 「まぁ、フランソワって絵も描けるの?」 「まぁね。ちょっとしたものだよ。」 ----------- |