痛い・・・

鉛弾は抜いたとはいえ、その為に広げた傷口がまるで生き物のように蠢く。
皆を心配させない為に眠りに付いた振りをしていたが、限界だった。

あたりを伺うように目を開けると、ダルタニアンとポルトスは寝入っているようだ。
そろりと起き上がるが、体を一つ動かす度に肩の血が逆流する。
溜息すら痛みにつながり、もうそれに抵抗することを諦め水を飲んで無理やりに
でも眠ろうと思ったが、ふとアトスが居ないことに気が付いた。

アトスはこういう場所で熟睡することはない。
だからこそ安心して目を閉じて無防備に横になっていたが、急に不安が募った。

「・・・アトス?」

小さく呟くが、それは星空に消えていくだけ。
そして自分の声に甘えが含まれていたことに気が付き、居心地が悪くなる。

けれど動くに動けず、しんとした空気の中で周りの気配を伺うと微かな足音が
聞こえてくる。アトスの音だった。

やがて目が合うと少し驚いたように、優しい声が掛かる。

「・・・アラミス、起きていたのか?」
「ああ、ちょっと寝付けなくてね。アトスは?」
「そろそろ薪が足りないと思って集めてきたんだ。もう少し火を大きくするか?」
「いや、見つかるといけないからこのままでいいよ」

体を起こした僕の横に、アトスは腰を下ろして細枝を火に投げくべる。

「アトス、少し眠ったら?火の番は僕がするから」
「何を言ってるんだ?君は今はしっかり睡眠を取らないといけないだろう」
「・・・眠れないんだ。だからいいよ」
「駄目だ。とりあえず横になれ」

無理やりにでも眠らせようとするアトスの必死な様子がおかしくて
思わず笑いが漏らすと訝しげに顔を覗き込まれ、額に手を当てられた。

ひやりとするアトスの手の感覚に鼓動がどくんと鐘打つ。

「熱もまだある」
「・・・たいしたことないよ」
「どうしてそう何時も強がりばかりを・・・」
「本当にたいしたことないから!」

耐え切れずアトスの手を思い切り振り払う。
肩に鈍い痛みが走り、しかめる顔を見られたくなくて体を背けた。

アトスのあきれたような溜息が後ろから聞こえる。
どうしようもない感情を持て余したまま必死に目を閉じて、眠気が少しでも
訪れることを願った。





直線上に配置

この幕間の妄想話、既に書いてると思ったら見当たらない・・・
絶対どこかで書いた覚えがあるんだけど、脳内?

ってことで改めて。

アトアラですが、あまり甘くならないようにしたつもり。
あー!!でもアラミスが女々しい・・・
なぜ凛々しくならんのか・・・





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