「ポルトス、アラミス、居るか!?ポルトス、アラミス!!」 「隊長、どうしたんだ?」 「さぁ・・、お前何かしたのか?」 「いやぁ・・」 「ポルトス、アラミス、ここだったのか!」 トレビルが血相を変えて控え室に飛び込んできた。 「一体どうしたのですか?」 何事かと二人は立ち上がる。 「アトスが何者かに襲われ重傷だそうだ。 今はボナシュー殿の家にかくまってもらっているらしい」 「何だって?アトスが!?」 「重傷・・・?」 思わず二人は顔を見合わせる。アトスが重傷だって・・・?そんなことが・・・ 「馬車を用意させる。ボナシュー殿の所からアトスをここへ一刻も早く 運んでくるんだ。またいつ襲われるかわからんからな。」 「わ、わかりました。おい、アラミス急ぐぞ」 「あ、ああ」 ---------- アトスの傷は想像以上に深かった。 だが急所ははずれている。隊長の屋敷で適切な処置を受ければ命に かかわることは無いだろうとポルトスは判断した。 「アラミス、馬は俺が駆るからお前はアトスの傷を押さえていてくれ」 「わかった」 「急ぐから揺れるぞ」 そう言ってポルトスは勢いよく馬車を走らせた。 車が揺れるたびにアトスは苦しそうに呻き、アラミスが押さえている傷口 から血が滲み出してくる。 (血が・・血が止まらない。アトス!) どくどくと流れ続ける赤い液体、その匂い、6年前のあの場面が蘇る。 (いや、いやだ!死なないで!!!) (フランソワ死なないで!!!) 過去の記憶との混乱によりアラミスの意識は遠のいていった。 「よし、着いたぞ。アトス、もう安心だからな、っおいアラミス!? どうしたんだ!?アラミス?」 -------------- 「うん・・・ここは・・?」 「あ、アラミス、気がついたか!」 「ポルトス・・?」 「まったく人騒がせな奴だな」 「・・・私は・・気を失って?・・・あ、アトス!アトスは!?」 「落ち着けって。この奥の部屋で眠っている。医者にも診てもらったしもう大丈夫だ」 「そうか、良かった・・・」 ふ、と気が抜けて正気に自分が戻っていくのを感じた。 それと同時に体に違和感を覚え視線を落とし、驚愕し、ポルトスを見つめる。 上半身は見慣れないシャツ一枚しか纏ってなかったのだ。 「ポルトス・・これは・・・」 「ああ、上着どころかさらしまでアトスの血が滲んでたからな。替えの服は俺のしか 無かったんだ。ずいぶん大きいが勘弁してくれ」 「うん。あのさ・・、ポルトスは、私の体・・・」 そう言って赤面していくアラミスを見て、ポルトスは慌てて弁解を始めた。 「いや、それほど見てないし、触ってない!そりゃちょっとは見たし、触ったが、それは 服を脱がすためで、それ以上のことはしてないぞ!」 その様子がおかしくて、アラミスはくすくすと笑い始めた。 知られていたんだ、と肩の力が抜けていった。 |