「ねぇアトス、私達は殺されるのかな?」 「いや奴らに殺す気があるならもうとっくに殺されてるだろう。 おそらく我々を囮にダルタニアンとポルトスをおびき出す気なんだろうな」 「そうか・・・」 「何、あの二人のことは心配いらないだろう。それよりも明日何をさせられるか・・」 「王子を助け出すためなら何だってする。生き延びるチャンスがあるのならな」 そう言って窓から塔を見つめる彼女の顔は月の光に青白く照らされていた。 明日何をさせられるのか、自分だったら何でも耐えられる。しかし女であるが故の 陵辱をもしアラミスが受けることになったら・・・ その不安を見透かすように彼女は微笑む。 「女であるが故の屈辱に耐える覚悟だってできてるさ。シャトレでも話しただろ。」 「ああ、わかってる。わかっているが・・・」 「アトス・・?」 「君がその屈辱に耐えられたとしても・・私は耐えられるか自信がない」 「何を言ってる?」 「フィリップ王子の救出より君を守ることを私は優先してしまうかもしれない・・・」 「アトス!!」 顔面に衝撃が走る。 何が起こったのかわからず顔を上げると拳を震わせ瞳に怒りを走らせたアラミスが 自分を見下ろしていた。 「君は・・・最低だ。」 「アラミス・・・」 「その言葉、撤回して欲しい。そして王子の救出を何より優先すると誓って」 「アラミス、私は・・」 「お願い・・・お願いだから」 つ、と涙が彼女の頬を伝う。 その表情に思わず息を呑み、立ち上がり、抱きしめる。細い肩が震えていた。 「お願いだから・・・アトス・・・」 |