ドレスを作ろう、そう思った。
褒美としていただいた金で少し上等なものを。
それを着てフランソワに会いにいこうと思った。

仕立てはボナシューに頼みたかったが、さてどうしたものか。
考えた末、シャルメーンに寸法を測ってもらい、ジャンに言付けることにした。
さる貴婦人がドレスを仕立てて欲しいのだが、事情があり出向けないから、と。

出来上がったものはパリの流行を取り入れた、しかもアラミス好みのものだった。
どうやらジャンが上手く伝えてくれたらしい。子どもながらによく見てるよな、と今更ながら感心した。

「ねぇ、着てみてよ!」
ジャンにせがまれ袖を通す。
「やっぱり!アラミスには青のドレスが似合うと思ったんだ!」
「そうかな、何か変じゃないかい?」
「そんなことないって!あ、化粧はしないのかい?」
「え?化粧?」

化粧道具なんて持ってないし、持っていたとしても自分ではできない。
結局ジャンにシャルメーンを呼んできてもらうことにした。

「さあ、できたよ。ほら」
「アラミス!すごくキレイだよ!オイラの知ってる女の人の中で一番キレイだ!」
「そうかな、何だか自分じゃないみたいで変な気分だよ」
「そりゃ6年もドレスを着てないからさ。けどアタシはずっと、あんたが着飾ったら誰にも負けない貴婦人になるって思ってたよ」
「ねぇ、その格好でパリの街を歩いてみようよ!オイラがエスコートするからさ!」
「あはは、それはいいね。けどあんたがエスコート役ってのもねぇ・・・」
「何だよ!オイラだってそれくらいできるやい!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。そんなことしたら・・」
「大丈夫だよ!今の姿を見ても誰もアラミスだなんて思わないから!」



直線上に配置

続く・・・かな?





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