(アラミス・・・!?) 敵をあらかた倒し息をついた時、彼女の姿が無いことに気が付いた。 (そうだ、マンソンを追っていったんだ!) 自分の手で仇を討ちたい、そう言っていた思いつめた顔を思い出す。 「おいっ、ダルタニアン!アラミスが居ないぞ?」 「ポルトス!アラミスはマンソンを追って・・・!」 -------------- 確かこっちに・・・ダルタニアンは断崖となっているほうに急いだ。 普段のアラミスならマンソンを相手にしても心配することは無いかもしれない。 けど怪我を負っている上、冷静さを欠いていたとしたら・・・ 「きゃあぁぁぁ!」 その時ダルタニアンが見たのはマンソンもろとも崖下に消えていくアラミスだった。 「アラミス!!!」 まさか、そんな・・・。慌てて崖下を見やる。 彼女は間一髪、樹をつかむことができていた。 -------------- 「ほんとはあの時、あのまま落ちてしまおうかとも思ったんだ」 ベルイールからの帰り、彼女はぽつりとつぶやいた。 「けどどうしてだろうね、死ぬのが怖くなったんだ。それまで死ぬのが怖いなんて 自分に限っては思わないと信じてた。だって私にとって死ぬことはあの人の元に 行けることだから・・・」 「それにもし私が死んで、奴が生き残ったとしても、君が代わりに 仇を討ってくれるただろ?」 「なのにどうして私は生きることを選んでしまったんだろうね・・・?」 最後にはまるで吐き捨てるように言う彼女をダルタニアンはふっと抱きしめた。 「それは僕たちのためだよ。君が死んだら僕たちがどれだけ悲しむか、 わかってるんだろ?」 |