まず、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。
全8話、短いようで長いようで、私にとっては妄想の限りを書き尽くした感でいっぱいで、
しばらくは抜け殻のようになりそうです。

この2ヶ月、頭の中はフランソワ様のことばかり。
フラさんやアラミスやアトスの台詞が頭を浮かんだり、綺麗な日本語や、胸を付く様な表現を
TVや雑誌で見つけるそそくさとメモを取ってました。

そしてこれをどう使おうかと、話をこねくり回し、
結局話の筋に合わず、使えなかった言葉が残骸としてごろごろしてます。
日本語に正面から向き合ってる気がして、苦しかったけど楽しかったです。

で、ラストについて

最初に浮かんだラストシーン(まだ1話目を書いてた頃)は
「アルプスの麓の花畑で、車椅子に乗ったフラさん(余命2,3年)とそれに寄り添うルネ」でした。

二人の幸せなラストを考えてたわけです。

が、フラさんの凶暴化は止まらず、余命2,3年どころの話じゃなくなりました。
それにここまで「黒」として書いたのに、最後になって改心して「のほほ〜ん」と幸せになるのって・・・

雪華の中で「黒」は「黒」として死んで欲しいというのがありまして。
たかだか恋人の涙で、コロっと改心してほしくないのです。
だって「白」として生きるより「黒」として生きるほうが難しいに決まってるので。
中途半端な気持ちで黒くても格好悪いです。
「黒」になる以上には、確固たる信念があって、覚悟もあって、揺るぎない心で誇りを持って黒くあって欲しいと思ったのです。

ってことで、最初の最終案はボツ。

次に浮かんだのは
「薬で凶暴化したフラさんの世話をしてその虐待に耐えながらも、どこかで救いを求めるアラミス」でした。

救いをもちろん与えるのはアトスです。

けど何回書いても違和感です。
いままでの話の流れ上、何か変です。

で、気が付いたのは(思い出した)、
この話は「フランソワ(とルネ)」の話であって、アトスの話ではないこと。
アラミスとアトスが幸せになるラストでは、この話を書いた意味が無くなると思いました。

それに、死んだと思ってた恋人が生きていた。
敵討ちを誓うくらい愛していた相手が生きていた。
なのに、彼がおかしくなってたからといって、さっさと心変わりして、アトスの方に行ってしまうアラミスは・・・嫌です。

自己中すぎるくらい一途な彼女が好きなんです。
だから薬漬けにしてでも、フランソワの面影を追い続けてます。
死人を生き返らせたくなる心情に近いと思います。

そしてアトスも、彼は「相手を一つの人格」として愛するタイプと設定したので、他の男の方を向いている女を自分のほうに
無理やり向けるタイプじゃないかな〜と。「後の先」もしくは「後の後」を取るタイプ。

言い方変えれば一緒に泥沼にはハマらない人です。
沼際のギリギリの所で手を差し伸べてはいるけれど、もう一歩踏み出して沼に突っ込んで引っ張り上げることは
しない、したくない、できないタイプ。(と、この話では設定)

で、あのラストとなりました。
もしかしたら、(この話の上で)何年かたったらアトスとアラミスは結ばれるかもしれませんが、今はこれで完結です。チャンチャン♪


(2005.08.10 雪華)









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